患者さんとのエピソード

わたしが集中治療室で体験した忘れられないエピソード【何気ない一言編】

ナースひまり
ナースひまり
こんにちは!ナースひまり(→プロフィール)です。

病院に入院する患者さんは元気になって退院する方もいれば、そのまま病院で亡くなる方もいますよね・・・

わたしが働いている集中治療室は、生死をさまよっている方ばかりなので看取ることも一般病棟の看護師さんよりも多く、今までにもたくさんの方を看取らせてもらってきました。

誰かの人生の終わりに携わるって、本当に貴重な経験。

今日はその中でも忘れられない患者さん、家族とのエピソードについて。

今回は看護師の何気ない一言に焦点をあてて書きました。

あなたはいつも患者さん、家族にどんな声かけをしていますか?

90歳まで病気知らずだったけど・・・

90歳まで病気知らずだったAさん。

病院に入院することになるまでは、本当に元気だったってAさんの娘さんから聞いた。

今回はカリニ肺炎で入院。

Aさんの肺炎はなかなか治らなくて、少しずつ呼吸状態も悪化して、人工呼吸器が必要な状態に。

医師から延命処置をするかどうかの面談をして、娘さんはすごく悩んでいた。

娘さん「先生、母は治療したらよくなりますか?もし、治療してもよくならないなら・・・このまま見守っていた方がいいんでしょうか?」

医師「ご年齢がご年齢なのでよくなるとは言い切れません。ご本人の体力がどこまでもつか・・・治療をしてよくなる方もいますが、やはり中にはそのまま亡くなられる方もいます。」

娘さん「そうですか・・・」

その後も医師との面談は続き、悩まれた末、延命処置をすることを決断。

挿管し、人工呼吸器が装着された。

実はAさん、今回の入院で心筋梗塞や腎不全も見つかって、経皮的冠動脈形成術(PCI)や人工透析など入院してから人工呼吸器以外にも侵襲的な治療が多かった。

そのたびに娘さんは治療をするかどうか1人で決断しなければならなくて、その度に悩まれていたのを今でもよく覚えている。

Aさんはずっと容態が悪く、意識混濁もあってAさんの意思は聞けないまま、治療をするかどうか全部娘さんが決めていた。

毎日Aさんに寄り添っていた娘さん

娘さんは仕事が終わると、Aさんに会いに来ていた。

「お母さん、調子はどう?」

いつもAさんの手を握って、その手を優しくさすっていた。

Aさんは相変わらず意識がない状態だったけど、娘さんが声をかけるとどことなく表情が和らいでいるように見えた。

そんな状態が1週間ほど続き、娘さんの顔にも少し疲れが出てきていた。

「こんにちは。体調崩されてないですか?夜は眠れてますか?」

いろんなスタッフが心配して声をかけたけど、いつも娘さんは

「大丈夫です。いつもありがとうございます。」

って、明るく振舞っていた。

そんなある日、Aさんの容態が急変。

急いで娘さんに電話をして、すぐに病院に来てもらうように伝えた。

Aさんの脈は徐々にのびていって、今にも心臓が止まりそうだった。

「遅くなってごめんなさい!お母さんは・・・?」

今にも心臓が止まりそうなAさんの姿を見て、頬に涙がつたうのが見えた。

「お母さん、遅くなってごめんね。よくがんばったね。もう楽になっていいからね。ゆっくり休んでね。」

「ありがとう。」

「ありがとう・・・」

何度も何度もAさんの耳元でお礼を言っていた。

そして・・・

ピー

心電図の波形がまっすぐになった。

Aさんの心臓は静かに鼓動を刻むのをやめた。

娘さんと一緒に行ったエンゼルケア

「一緒に、お母さんの体を綺麗にしませんか?」

うちの病棟では、患者さんが亡くなったら家族と一緒にエンゼルケアをするようにしている。

それは残された家族のグリーフケアの意味も込めて。

グリーフケアとは

親族や家族、友人など親しい人との死別を体験してしまい、悲観の日々を過ごしている人に寄り添い世話をすることで、その深い悲しみから立ち直させること。

「お母さん、気持ちいい?」

「こんなに痩せちゃって・・・昔はもっと丸々としてたのにね(笑)」

わたしは娘さんとAさんの体を拭きながら、思い出話を聞いていた。

Aさんは入院中、いつも眉間にシワを寄せて苦しそうな表情をしていたけど、エンゼルケアをしていた時の表情はおだやかだった。

たまに娘さんがAさんに話しかけるけど、返事がないから少し寂しそう。

体を拭いて薄化粧したAさんの姿は、ただ穏やかに寝ているだけかのように見えた。

娘さん「なんだか寝てるみたいですね。」

わたし「そうですね。」

娘さん「長い間、ありがとうございました。先生にも看護師さんにも本当にお世話になりました。」

その後、Aさんは寝台車に乗って娘さんと病院を後にした。

お悔やみ訪問

うちの病棟で亡くなった患者さんは49日が過ぎたら、グリーフケアのために家族に電話をして、家族の了承が得られたら自宅まで話を聞きに行っている。

それをお悔やみ訪問ってよんでる。

(忙しくてできないことの方が多いけど(^^;)

電話をかけるのは、主に担当していた看護師。

今回はAさんの担当をしていたわたしが、娘さんに電話をかけて「ぜひ来てください。」って言って下さったのでご自宅まで伺った。

ご自宅にお邪魔して、お仏壇には凛とした着物姿のAさんの遺影があった。

Aさん、こんな顔してたんだ・・・

わたしは意識がないAさんしか知らなかったから、遺影の姿がすごく印象的だった。

1時間ぐらい、入院中のことやAさんが亡くなった後の話を聞いた。

いつも

「大丈夫です。ありがとうございます。」

って明るく振舞っていたけど、やっぱり入院中は色々と思うことがあったみたい。

「実はね、人工呼吸器をつけてから毎日お母さんに謝ってたの。こんなしんどい思いをさせてごめんね。苦しかったよねって。」

そうだったんだ・・・

「でもね、看護師さんが人工呼吸器をつけている間は眠くなるお薬を使ってるから、ご本人は覚えていないことが多いんですよって教えてくれて。わたしはその言葉にすごく助けられたんです。

その看護師さんっていうのが、わたしが尊敬している先輩だった。

(後日、そのことを先輩に伝えたら「そうなの?」って言っていて、先輩は何気なく言った一言だったみたい。)

わたしは話を聞いていて、患者さんや家族は看護師の一言一言に一喜一憂することがあるんだって改めて気付かされた。

特にわたしは患者さんが重症なときに関わるからこそ、自分の言動に責任をもって働いていきたいって、その時強く思った。

まとめ

看護師の何気ない一言にも、患者さんや家族は一喜一憂している。

今回の件みたいに喜んでもらえることもあれば、逆に知らず知らずのうちに傷つけてしまっている時もある・・・

病気だけみても看護はできない。

看護師は常に“その人をみる”っていうことを忘れてはいけないなって思うんです。

追伸

看護って本当に難しいですよね・・・

勤務内に看護だけじゃなくて、業務もしないといけない。

業務に追われて、その日が終わるっていうこともザラにある。

そんな時、

「わたし、何してるんだろう・・・」

「看護ってなんだっけ?」

って、こんな風に段々と仕事に楽しさややりがいを見出せなくなる。

わたしは今になってようやく、仕事が楽しい、もっといろんなことができるようになりたいって思えるようになったけど・・・

それまでがものすごく苦しかった。

何度も辞めたくなった。

でも、今になって思うのが、うまくいかない時って物事を表面上でしか捉えられていなかったからだなって。

物事には必ず本質がある。

本質っていうと、ちょっと難しそうなイメージがあるけど、つまり物事には必ず理由や原因があるということ。

そこまで突き詰めていかないと、目の前の問題は解決されていかない。

そのためにはまず、「なんでだろう?」って考えるクセをつけること。

その積み重ねで、1年後、3年後、5年後・・・

大きく成長している自分がいる。

この記事が少しでも、あなたの役にたてば幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

ABOUT ME
ナースひまり
ナースひまり
集中治療室8年目アラサーナース。将来のライフイベントに備えて、現在看護師の仕事をしながら別のキャリアに挑戦中。 人生、健康、恋愛、結婚、お金、人間関係、今後のキャリア・・・わたしは7年以上看護師をしてきて、本当にいろんなことに悩んできました。心身が崩壊しそうになったなんてことも。たくさん悩んできたわたしだからこそ伝えられることがある。そんな思いでこのブログをはじめました。詳しいプロフィールはこちら

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